ただひとつ。Side Story





コチ…


コチ……




静寂な夜に……



コチ…



コチ……



時計の音が小気味よく刻み込まれる。




幾度となくそんな夜を過ごしてきた。



地元を離れ…


君がいないその日には、


幾つもの不安と淋しさにかられて…



ひっそりと泣いたものだった。



お腹に小さな命を抱えて…



新しい生活と、新しい命を守る為に…



ただただ、孤独と戦った。



けれど…



今は、こんな夜も嫌いじゃない。



なぜなら、小さな命のその鼓動が…


聞こえてくるから。


…独りじゃないから。





私はペンを取ると…、

メモ用紙に文字を走らせた。



それから…


夕食にラップをし、


ケーキを2片、それぞれをべつの皿に分けて置いた。




そして…

ソファーにもたれかかり、その【音】達に…、
そっと耳を傾けた。