ただひとつ。Side Story

「介抱する方の身にもなってくれ。」


「…あれ、ひよりお酒弱かったけ?」


「まこちゃん、逆!強いがゆえに日本酒なんて呑んだ果てには……。」


「…あ~…。なんとなく、想像つくわ…。」


「だろ?」


「なに、颯太くんはいつもその役目?」


「大体はね。俺は自分の限度ってもん分かるから歯止めきくけど…コイツはなぁ~…。」



あ。今さり気に『コイツ』って言った。



「じゃあ呑まないように私が見てるよ。」


「だと助かるっ!」



「……。颯太くんはいい旦那さんになりそうだね。」


「…だろ?自分でもそー思うよ。」


「なのに…、まさか先越されるなんてね?」


「……。まあ、順番は関係ねーな。」


「………。」


「好き合っていれば、それだけでも十分幸せだし。…あ、負け惜しみとかじゃねーからな。」


「…わかってるよ。颯太くんの表情見てるだけで伝わる。」


「へ?」


颯太くんは…いきなりそっぽを向いた。






「今日もあちーな…。」



窓の外を眺めてそう呟いていたけれど……。



耳が真っ赤になっていた。




「………。」



照れ隠し…?



「ふふっ……。」



「どうしたの、まこ。」


「ん。ごめんごめん!なんでもないよ♪」





なおも外を見たままの颯太くん。




高校の時の…


あの、余裕のある飄々とした彼はどこに行ったのだろう。


これが…


人を好きになるってことなのかな。




自分自身のコントロールがきかないくらいに、夢中になる。



人は人を…



こんなにも優しくすることが出来るんだ。




やっぱり、うらやましいよ。