ただひとつ。Side Story

しばらくすると……


片手には歯ブラシを、


もう一方には歯磨き粉をしっかり握って……



洗面所から、日向が駆けてきた。



…本当に持ってきた。



「よく届いたね?」



「僕の階段のやつを使ったからできたんだよ!」


「………?」


階段……?



「あの、緑の!階段の!」



「…ああ!アレか!」



【アレ】というのは、我が家で大層重宝している2段の『ステップ』のことだ。



…なる程。キッチンから持っていって使ったらしい。




日向ももう3歳。

何でもやろうと思えばやれる歳になってきたのだ。



子供の成長はあっという間で……



目を見張る程である。



歯磨きを終えると、


「ぶくぶくぺー自分でできる!」



今度は自慢げに走り去った。



その後ろ姿が何とも頼もしくて……




ホッと安堵の息をもたらした。