ただひとつ。Side Story

君がいなくなってから、息子が寂しくならないようにと努めるのが母親の仕事であり…、


まずはご馳走やケーキの材料の買い出しに出掛けた。



外は辺り一面真っ白で……


太陽の光が反射して、


キラキラ…


キラキラ……


何度も…、目を細めた。




全身フル装備の日向は、新雪の中にダイブを繰り返しては……


自分の顔型を見て、

「へへへっ」

と、りんごほっぺを私に向けて笑っていた。



帰り道……



空からは、ホロリホロリと雪が舞い……



私達のアタマにも、肩にもどんどんそれは降り積もった。



ギュッ…
ギュッ…



雪踏む音だけが空に響き……



それがより一層、淋しさを象徴するかのようだった。



「…ねえ、日向。」


「え?」


「日向はサンタさんにプレゼント何お願いしたの?」


「ん~…。秘密っ。」




「…またそれかあ…。いつ教えてくれるの?」



「…明日ね、明日。」


日向はさも楽し気に笑ってみせた。



『明日』なんて概念まだない癖に…。



毎日明日って言われたら…いつ聞けば正解になる?



「…サンタさんは知ってる?」



「うん!多分ね!」




ばふっ

と…、



日向は再び雪へと突っ込む。




「………お~い、日向?」



「…ナニ?」



「…トナカイみたいな鼻になるよ?」


「…えっ?!」



ガバッと起き上がり…


鼻を覆う。



「…う~ん、トナカイっていうよりお猿かな。サルひなた、『うききっ』♪」



「…じゃーお母さんは猿ママね。」



「うっ……。」



息子のどや顔。



「…ふぅ~…。まあ、いっか、猿親子でも。じゃあお父さんはボス猿だ。」


「…ボスってナニ?」


「う~ん。一家の大黒柱…、イヤ、一番つよ~い猿のことかな。」