ただひとつ。Side Story

「……嘘でしょ?!」


「……。まあ、頑張れ。俺、下のロビーで待ってるから。」


「てか、何でもっと早く起こしてくれないのよ~!?」


「俺もまあまあ起きたばっかだし。それにまこちゃんいるから大丈夫かなって勝手に油断してたよ。見事に裏切られたけどな~♪」


「……それはご期待に添えずすみませんねえ。」


「…ははっ…!面白ぇ~!」


「…何で笑うかな。」


面白い?


また、言われた…。


何がそんなに面白い?


「まこちゃん、時間ないよ。」


「!!そうだった!」


「じゃあ、また後で」



颯太くんはニヤリと笑って……



行ってしまった。



「………。」


自分だけバッチリ準備終わしてるなんて…


ズルい。



けど……。




脳裏に、さっきの颯太くんの姿が浮かんだ。




ビシッと着こなしたスーツ…


さすがにかっこよかったな。








なんて…




そんなこと考えてる場合じゃない。



私はブンブンと首を振ると…




なおも呑気に寝息を立てるひよりに……




襲い掛かった。




「ひよりっ!!起きて、寝てる場合じゃないよ!あと少しで出発だよ~!!!」




「…はいッ??!」



ひよりは直ぐさまベッドから飛び起きると…



のらりくらりと部屋をうろつき始めた。


その後は、目が回るくらいの勢いだった。




「ひより、まずは洗顔!!」


洗面所からひよりを呼びつつも…


私だって時間はない。


あちこち動き回り……




ジャスト30分…、



華やかな衣装を身に纏ったはずの私達は……



既にヘロヘロで、


着崩れすらしているような、そんな状態だった。