ただひとつ。Side Story

「…私は……、ずっと好きだったよ?」



…俺も……



そうだったのかもしれないな…。




「…そっか…。」



「…もう、どうにもならないのかな。」



「……お前……今更何言って…。」



「…自惚れじゃなきゃ、和志も私を見ていてくれた。……違うかな?」



「………。」



そうだよ。


友達のフリしてずっと近くにいたのかもしれない。




「…お前には藤倉先輩がいるだろ。」



「…でも…!」



「…だから…、俺らはずっとこうでいいんじゃないか?…なかなかないぞ、男女の友情って…。」



「…和志……。」



「…だから…、だから……、俺は『さよなら』は言わないぞ。友達だったら必ずまた会えるからな。」



「………。それは、一生変わらないの?」



「…うん。」



「どうしても…?」



「…うん。」




加藤は大粒の涙を流した。




…なんて綺麗な涙を流すのだろう。



『加藤いちか』は…


真っ直ぐで、純粋な奴だったと……



今更ながら、気づく。




全てが……


遅すぎたんだな…。




「またいつか…会えるかな。」



「…馬鹿言え。俺はダチを大切にする男だ。」



「…うん、そうだね。」




加藤の顔を見ると……



俺までつられて泣いてしまいそうで……、



あえて顔をそらす。



…ごめん、加藤。



でも最後くらい……



かっこよく笑って別れたいじゃん?




「…制服のボタン……、全部あげちゃったんだね。」



加藤が俺の胸元を指差す。



「…おう。」


「モテモテだ。」


「…そーかな。」



…何人に好かれても…、


一人の女に振り向いてもらえない方が虚しいもんだぞ。