ただひとつ。Side Story

「…え。」




【裏門】…?



「…サンキュ!」




何で裏門なんかに…。



あそこは付き合い始め…、夏頃に待ち合わせしていた場所。


人に見られないようにと、自然とそこで待つようになっていた。




今更…


何でだよ。



俺にはやっぱり加藤の行動は理解できなくて……




こんなに必死に走っていても、



どこか空回りしている気がしてならない。



俺は……



迷わず正門で待っていた。


なのにあいつは……



裏門を選んだ。



俺がそっちに行くと思ったからだろう。



だが、実際はどうだ?



……気持ちは結局……



すれ違ったまま。



どんなに好きでも……



どうしようもないのか?








裏門を駆けぬけ、俺は周りを見渡しながら、先を急いだ。



もうこんな時間だ。



思い違いじゃなければ……



俺んちに向かったのかもしれない。






「はあっはあっ……」



膝に手を当て、俺は真っすぐに前を見据えた。



「……いない…。」



家の前までたどり着いたけれど……



加藤の姿はなかった。


思い違いだったか、それとも……



俺は一息ついつ、それから……



再び、走り出した。



来たかもしれない。


会えなかったからと家に帰ったのかもしれない。




とにかく……




走って



走って、




走りまくった。