ただひとつ。Side Story

「何でお前が俺の好きな奴わかんの?」


「…朝永に楓でしょ?あんなんガツガツしてたらわかるっしょ。」


「…あれは憧れっつーか、あわよくば……。」


「紛らわしい真似してるからだよ。なのに…いちかに関しては、必死さが全然伝わらない。」


「…俺だって必死だっての!こんなん思い通りにならないの初めてだし……。」


「サイテー。『思い通り』?あんた恋愛にそんなこと求めてるの?相手を思いやってない証拠じゃない。」


「………。」


「…もっと……いちかの気持ちを察してあげるべきだったんじゃないの?ちゃんと向き合えない恋愛ほど辛いものはないよ。なのに…いちかはアンタを追った。何もかも分かってて……。」



「…………加藤…。」



「…私がアンタに言ってやれることはそのくらいだよ。後は…自分で何とかしな。」







加藤が……



俺を追っていた?



…だとしたら……




まだ、俺らは……



やり直せるんじゃないか…?




「……木村、サンキュ!」


「いーえ~、どう致しまして。」





俺は木村に踵を返すと……



慌てて、体育館を出た。




もしかしたらどこかですれ違ったのかもしれない。


まだ近くで…


俺を探してるなんてこと…?





「…和志っ!」



不意に…


誰かに呼び止められた。




「………なんだ、お前か。」



背後にいたのは…


走ってきたのか、息をきらしている颯太だった。



「俺ら、今日ギャラリーで筋トレと素振りしてたんだけど…、お前もしかして加藤探してる?」



「……!見かけたのか?」



「ギャラリーから裏門見えるだろ?だいぶ前だけど、加藤らしき奴がそこでうろついてたぞ。もしかしたらお前んとこ待ってんのかなって…。」