ただひとつ。Side Story

待つのって…こんなに長いっけ。



辺りはうっすらと雪化粧。




何も考えずにいた頃とは違う。


ただ会いたくて待つなんて……



そんなこと、したこともない。



だって……



こんな恋愛、したことがなかったから。






「……~…、ダメだ。限界…。」



寒さに耐え切れず、おれの我慢もまた限界だった。




急いで体育館の入口へ向かうと……



そっと中を覗いた。




「…あれ……?」



ホッケー部の連中が数名、体育館の隅で話し混んでいた。



…が、



加藤の姿はない。




「……ねえ、ちょっと。」



女子の輪の中に、俺はすんなりと入りこむ。



加藤と仲のいい木村が、そんな俺を見て…不思議そうに首を傾げた。






「…あれえ、和志。帰ったんじゃなかったの?」


「帰ってねーよ!ずっと外にいた。…てか、加藤は?」



「いちかなら、もう帰ったよ?」



「マジで?え、今?」



「…ううん。和志が武道館から出たの見つけて…、荷物まとめて慌てて出て行ったけど?」


「……?会ってねーぞ。」


「…おかしいなぁ。ずっと待ってたんだよね?真っすぐその場所に行ったの?」



「行ったよ!」



「…てか、アンタ達別れたんじゃないの?今更二人して何やってんのよ。」



「…誰が別れたって言ったんだよ…。」



「いや、だって全然いちかと一緒にいないし、いちかは暗いし……。みんなそう思ってたと思うよ?」


「…おまえらはどう思っても構わねーけどよ、けど…あいつは?加藤は?」



「…和志。アンタさあ……」