ただひとつ。Side Story

「……笑う元気があるなら大丈夫かな。…どれっ、行くぞ。」




青山の身体を起こして…


自分の肩に腕を乗せた。



「…よいしょっと…。」



奴はふらつきながらも、何とか立ち上がった。




「…一応保健室行くからな。」



「…おう。」



「あ、それから……佐野センパイ!」



「…………。」



「…敬遠はやめた方がいいですよ。もし次のバッターがこいつだったら…本末転倒。正直になりゃあそれが一番です。……じゃ。」



「…………。」






佐野は…



何も言わなかった。



けれど俺には、

イヤ、俺らには確信があって……




だからこそ、奴を置き去りにできたんだと思う。





「…なあ。」



「…ん~?」



「…お前、マジで携帯…録ってたの?」




「んな訳ないじゃん。盗み聞きでいっぱいいっぱいだったんだ。…そんなの、ただのハッタリ。」



「…やっぱり…。名演技だな。」


「…だろ?嘘は嫌いだけど、冗談は得意なんだ。」


「…紙一重じゃん。」


「まあな。…お前こそ、西藤と佐野を見たなんて嘘、よくつけたなあ。何で健の名前、出さなかった?」


「ん?名前出したら巻き込むことになるだろ?」


「…優しいっつーか何ていうか…。」



「…それに…、あともー大丈夫。」




青山は俺の肩からするりと腕を外すと……



まるで何事もなかったのように歩き出した。




「…おい。大丈夫なのか…?」



アタマ…
だいぶ強く打ってたぞ?



「あのくらいでどうもなんねーよ!」



「だってさっき…」



「……あれ、お前気づいてなかった?」