ただひとつ。Side Story



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「おまっ…、ボヤ起こしたらどーすんだよ!俺の甲子園の夢が…。」


健は吸い殻を二つの指でつまみ上げると……、


手にした携帯灰皿の中へと入れた。


足元の板の上には…小さく、黒い焦げ跡が残った。


「…アホ、まだ中坊だろ。わかってるならこんな場所で喫煙なんて、騒動になりそうなことするなよ。」


「…うるせーな。…ったく、ほうき、ほうき…。」



健は既に俺の声は半分聞きだ。



ほうきで灰をとり、それを小窓から投げ捨てると……



外へでて、更にそれを足で散らして証拠隠滅を計った。



「ヨッと…。」


戻ってきた健は…



どこから持ってきたのか、泥を掌から垂らして……


その、焼け跡を隠してしまった。




「……。手慣れてるな。」


ここまでくると、呆れてしまう。


「…おう。先輩から伝授された方法だ。あとは足で均して仕上げ。」





「…情けない伝統だな。」


「…まあ、お前からしたらそーだろうなあ…。」


「………。」


「…ああ見えて、西藤も吸ってんだぞ。」


「…はあ?!」


…マジか。


「素直だっつーか断れないってのは…、損だよなあ。」


「…強要されたの?」


「最初はな。…多分だけど。でもさ~、結果的には吸うようになってんだぞ?そこに自分の意思はないのかねぇ。」


「…さあ…。」 


「ちなみにあいつは吸ってないぞ。」


「…『あいつ』って?」


「…話の流れ読めよ。あいつっつったら『青山』だろーよ。」


「…ああ!」


「あいつに指図する奴は基本的にいねーけど…、意外と真面目にやってんだよ。」


「………。」


「練習はいつも真剣だし、実際うまいしよ~。かと言って、先輩に目ェつけられたり、逆にナメられることもない。うまいことやってるよな。一目置かれてるっつーか。」