ただひとつ。Side Story

「マジか!『親しき仲にも礼儀あり』だろ。俺はお前にちゃんと送ったぞ。」



少しムカついて、俺はつい言い返した。




「………。ぶはっ…!…うそうそっ!ちゃんとあるって!しかも今日届くから~。」



「……。アホそれならそうと早く言え。」



「…い~か、お前ら絶対無くすなよ!」



そう言って颯太は……



珍しく持ってきた鞄の中身を、ごそごそとあざき始めた。



「…………?」




しばらくして…



奴は俺らにゆっくりと歩みよると…




「お願いします!」


…と、何故かかわいらしい声を出して、一人一人に封筒を手渡してきた。



俺らはそれが何かなんてもちろんわかっていて…



「…仕方ねーなあ…。」


俺と、


「あざっす!…いや、ひよりちゃんを嫁に出すのは気がひけるからやっぱいらないかな。」



…健と…、





「…ありがとう。」



…大地は…、




それぞれ、ニヤニヤしながらそれを受けとった。




「…直接渡したかったから…、遅くなった。…ワリィ。」



ちょっとはにかんで、颯太もまたニヤリと笑う。



「絶対無くすなよ!」




颯太は念を押すようにして言い放つと…、



やはり照れ臭いのか、すぐに背を向けて…


部屋へと戻って行った。




俺はその『招待状』をじっと見つめた。




【青山颯太】



【市川ひより】



「………。」



ひよりは、【青山ひより】になるのか…。



旧友の名字が変わるのには、何だかまだ違和感がある。



沢山の結婚披露宴に招待されて行ったけれど…



この結婚式だけは、俺はその時何を思い…


どんな行動に出るのかが、予想もつかない。




間違いなく、嬉しさのあまりはしゃいでしまうのだろうけど…。