ただひとつ。Side Story

「う…。それは、その通りかも。」


「あんままこちゃんに迷惑かけんなよ~?」


「あはは…、ハ~イ。」


「ところでさ、風呂上がりに散歩しよーかと思って待ってたんだけど。」


「あ。ホント?行く行く!」


………。


あれ?

私、じゃまじゃない?


さっきだって二人の時間邪魔しちゃったしな。


「…私、なんか眠くなってきたし、部屋で待ってるよ。」


「え。まこ行かないの?」


「うん。先に一杯やっとくよ。」


「…ぶはっ…!親父みたいだな。」


何故か颯太くんが大爆笑した。


「…何よ~…。いいじゃん、別に。」


「いいね、ホント。いい味出してんじゃん。」


「………?」


「……。壁を、ぶち破れよ?」



壁……?


「人と、なんの隔たりのない関係を築いていかないと。」


ああ…、そっか。


この人が言わんとしていることが……


じんわりと伝わる。




私が唯一ひよりの前で見せるその姿。



「素のままで。」


彼はニヤリと笑った。


一方のひよりは……



不思議そうに私達のやりとりを眺めていた。



「まこ。帰ったら一杯酌み交わそう。」


「あはは、そーだね、女子会しよ。」


「あれ。俺は?」


「ダメダメ!颯太くんに言えない話、沢山あるんだから。」


「そう?んじゃ仕方ねーな。…まこちゃん、ちょっとだけひより借りるね。」


「行ってきます!」


「…うん、いってらっしゃ~い!」





私はソファーに座ったまま、二人に手を振った。




「ひより、アイス食べたくない?」


「…食べたいっ。売ってるの?」


「さっき売店で見つけた。」


…私におごってくれたことは言わないんだ。


「何にしようかなぁ~。」


「気ぃ早いな。分かった!当ててやろうか?」



……ひよりなら…


チョコアイスだな。