ただひとつ。Side Story

「…じゃあ、まず中に入って話そう。」


その男はー…


力任せに、無理矢理ドアをこじ開けた。



そこは…


野球部の部室。


汗の匂いや砂埃が立ち込めていて…、そして、一気に汗ばむほど暑かった。



雑に片付けられたバッドに…


茶色になったボール。



「………片付けくらいちゃんとしろよ。」


俺はボールを拾いあげると…


カゴの中に投げ入れた。




「…マネージャーがいればなあ…。男臭くてわかんねーよ、ホント!」


「女子マネか…。確かにいたら最高だろうな。」


「…だろ?!」




俺は小さな窓を全開にすると…



ちょっと咳込んで、それから…



そいつの方をじっと見つめた。




「…で?わざわざこんなところまで来て何の話だよ。」


大きく息を吐いて……




その男……、


『佐伯健』はさも怠そうに口を開いた。