ただひとつ。Side Story

「…うるさいと思うならダラダラしてないで返事しろ!電話だ、女の子から。」



……女っ?!


誰だ?



さっきまでのだるさが一気に吹き飛んだ。




直ぐさまドアを開け、親父から子機を受け取る。




「…加藤さんて子だ。」



名前を聞いて、通話ボタンにかけられた指先が、一瞬…躊躇する。




「…加藤…。」





果たして俺は……



ヤツの誘惑に、勝てるのだろうか。





大きく息を吸い込んで、


それから……


「…もしもし。」



わざと、テンション低めに出てみた。





『もしもし。加藤だけど…。ごめんね、突然電話して。』



「いや…。」


あんまり『ごめん』が感じられない口調だけど?



「何、何か用?」


『……うん、用っていうか…。』


電話越しで恥じらっている?