ただひとつ。Side Story

「あいつはそんなことで怒んねーよ。それに…、何よりもあいつの憧れだからな、まこちゃんは!」


「へ?」


「『出来るなら、まこみたいになりたい!』ってセリフ、何度聞いたかわかんない。」


「………。」


「…そういう存在が身近にいると、女の人ってどんどんキレイになるもんだよなぁ…。」


「…それはつまり…、ノロケっすか?」


「ぶはっ…!そーかも!」


「ホント、羨ましいよ。私も自分を誉めてくれる優しい彼氏、ほしーよ。」


「………。じゃーまこちゃんはさ、何で彼氏つくんないの?」


「…彼氏はいたりもしたよ、でも…なんか違うんだよなぁ…。」


「…いたんだ。」


「うん、それなりに。」


「…ひより、それ知らないだろ。」


「…?うん。だって長続きしてないし…。」


「…ふーん…、そっか。」


何故か……


颯太くんは眉をしかめている。




「…ねえ。俺も隣りにいい?」


彼は私の隣りの椅子を指差した。


「…うん、どうぞ。」




何だか…


変な展開だ。



一方の颯太くんは呑気に目を閉じ、それに身を委ねていた。



チラッと視界の端で…


その姿を捕える。




「………。」



さすがに…


整った顔立ち。


無防備ともいえるその佇まいは……



女の子なら、誰でも憧れずにはいられないような…


そんな、不思議な空気を持つ。



適当なようで、


実は誠実。


底抜けに明るく振る舞う一方で…


ちゃんと物事を冷静に判断できる行動力。




「…いいなぁ…。」



つい、ポロっと…


言葉がでてしまった。



ゆっくりと目を開いた颯太くんと私の視線とがぶつかった。




「…俺もさっき同じこと思ったよ。」


「えっ…。」


「…女の子の無防備な姿はそそられるなぁって!」