ただひとつ。Side Story

「…なんだ、あいつ…。真面目にやってんじゃん。」



その視線は真っすぐに一人の男へと向けられていた。




【青山颯太】。



…クラスメイトだ。




笑顔こそないものの…、


かといってつまらなそうな顔もしていない。




何かに真剣に打ち込む姿なんて…、


初めてみた。



…と、いうのも……



教室で見るあいつは、


けだるそうに外を眺めているか…


寝ているかのどっちかだったから。



『人類みな友達』と思いこんでいた俺にとっては…


唯一手に負えない男だった。




あいつはいつもひとり。


話し掛ける奴がいるとしたら……



必死に奴の弱みを握ってやろうと探りを入れる俺と…、


そして、もうひとり。




学年一の美少女で、クラスメイトでもある…


【楓】という女子生徒だ。