ただひとつ。Side Story



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ミーンミンミン……



ジーワ…ジーワ…




耳に纏わり付く蝉の声。




カキーン…



「…………。」


田んぼのど真ん中に位置するグラウンドに響く小気味よいバットの音。



学校の駐車場を歩きながら、やっぱりアタマにタオルを巻き付けて歩く俺の目の前に……


突然、白い物体が飛び出してきた。



「…あぶねっ…。」



転がっていくその白いボールを…


俺は慌てて足でとめた。



「すみませんっ!」


野球部の一年坊主が、ご丁寧にも帽子を外して深々と頭を下げた。


「…ホレッ。」


「あざっす!」




そいつにボールを投げると、俺はあさっての方向を向いた。



炎天下。


気温は恐らく30℃は軽く越えていて…



それでも一切手を緩めることを知らない汗と砂に塗れたその男たちの姿に…


俺はしばし、視線を注いだ。