「まだ何か……」


サンタのプレゼントは靴下に入れるらしいが、この手袋にも何かが入っていた。


チューブ形の軟膏。医療用に使われそうなそれは、もしやあの医者から貰ったのかと五十鈴は目を細める。


「あいつ……」


辺りを見回せどあいつはいない。


また出たため息は、不意打ちを好むと言う奴に宛てて。


腹立たしいのは変わりない、あいつの思い通りになんてさせてたまるかと手袋を捨てようとも考えたが。


「……、もったいないお化けが出ると、あの子にも言ったしな」


物を粗末にしては駄目だと教えている身のため、捨てては駄目だと使ってみた。


手を包む手袋は、五十鈴の好きな赤色とあって。


「あの、阿呆んだらめ」


これを選ぶあいつを思い描いて、知らずと口が緩んでしまった。