「救急車お願いします。はい、○×町の××です」 斎藤さんは男を片手で押さえ付けたままケータイで救急車を呼んでいた。 その間、私は平助を呼び続けていた。 ふと顔を上げると電信柱の影でその光景にほくそ笑む修平先輩の姿が目に入った。 でも、修平先輩はすぐに立ち去った。 「まさか、あの男がこれを…?」 私の小さな呟きを掻き消すように救急車のサイレンが響いた。