「ボク、名前は?」

「海里だよ。
お兄ちゃんは?」

「侑哉」

「ボールのお兄ちゃんは?」


ボールのお兄ちゃん……?

あぁ、俺か。


「陽斗だよ」

「はる……ハル兄ちゃん?」


……何だこれ。

可愛いな。

可愛すぎる。

弟にしたい。


「お姉ちゃんの名前は?」

「七海!」


七海……?


俺と侑哉は顔を見合わせた。


まさか……まさかな。

ななみ、って他にもいそうだし……。


すると、侑哉が海里の持っていた傘に目をつけた。


「海里、ちょっと貸して」


侑哉は海里から傘を借りると、取っ手の部分に貼ってあるシールを俺に見せてきた。


いざわ かいり


いざわ……伊沢……。

……あ。


「……侑哉。
俺……七海に弟の写メ見せてもらったことあるよ。
……しかも名前も聞いた」

「マジ?」

「この子……七海の弟だ」


写メ見せてもらって、名前も教えてもらって……気づかなかった自分がすごい。