男子二人、女子一人。健全なる共同生活。

礼音はいつものように、急いで擬態しました。

この喫煙スペースは、駐輪場への近道でもあるのです。
だから帰りにここを通る生徒は多いのですが……そういえば小笠原清花は噂通り徒歩で帰って行ったな、なんて考えていると、女子たちが礼音に手を振りました。


もちろんすでに擬態済みの礼音はニコニコ、彼女たちに手を振り返します。

礼音に手を振られて少しテンションのあがる一団を見て安心し、それから礼音は学生プラザ内をちらっと見ました。


   犬飼優が、男子生徒とわき腹のつつきあいをしています。


ちくしょ、うらやましいなあいつら。

彼等のような「平凡」なグループとはそこまで親しくしていない礼音にとって、優とじゃれている男は嫉妬の対象です。


それに優の様子をよく見ている礼音には分かります。
彼は、ノーマルです。
人並みに女子たちを目で追い、清花のことは高嶺の花を見る目で見……


そう、ノーマルを好きになってもいいことはない。
だから礼音は、恋愛なんて面倒なことはせずに、お仲間と適度に遊んで発散することにしているのです。


それを、あの小笠原清花は。

あっさり見抜いたうえに、似合わないおせっかいをやいていきました。


言い触らされるよりは随分とマシだけど。

この、安全なポジションを壊されるのは面倒だ、と礼音は思いました。