「先生、あたし、心から信頼できる人ができました。今までは、それを受け入れたくなかったけど、今はもう大丈夫です。」


先生達は微笑んだ。


「信頼できる人がいるってことは奇跡なんだよ。」


「奇跡??」


「そう。だって、こんな世界中の人の中から、信頼できるその人に出会えたってことだから。」


そうだ…。


あたしが、この病気にならなかったら…


ここの施設に入ってこなかったら…


あたしと律は出会わなかった。


こんな信頼できる人とは出会えなかった。


「奇跡ですね。だから、あたしはその人を大切にしたいと思います。」


「あぁ。大切にしなさい。」


そして、あたしは先生達に一礼をして、診察室を出た。