利來side


紗良が亜樹兄の所に行ったのを確認して声をかける。




「おい、気を消してるみたいだけど僕にはバレバレだよ、炎鳥。」




「チッ、なんなんだよお前。
鬼慈志に霊力取られたんじゃないのかよ。」




「僕をみくびるな。」




とは言っても僕だって実際は驚いている。
あの日、確かに鬼慈志に霊力を奪われた。
でも、全然支障がない。

寧ろ前よりも霊力が上がった気がする。




「で、僕に何か用なわけ?
わざわざ気を消して紗良にバレないようにしてたんだろう。」




「まあな。
じゃあ話すが、お前も薄々きずいていると思うが鬼慈志が動きだしてる。」




鬼慈志。




「魔原森からはこれでもかってぐらいに邪気が出てるからな。

でも次は負けない、鬼慈志なんかに。
この前の借りは必ず返してやる。
倍にしてな。」




「おい、そこで千覇に変わんなよ。
フッ、まぁ、お前って昔と変わらないよな。」




僕は感情一つで千覇に代わってしまう。

でも前に比べたら千覇になっている時の記憶もちゃんと残っているし"利來"としての感情をしっかり表にだせるようになった。

でも、何故か千覇になった時だけ紗良の事を紅弥と呼んでしまうし、口調も変わってしまう。