黒羽の裏切り

「あ?屋上に決まってんだろ。



さっき行くって言ったし。


とりあえず早く立て。飛び方教えるから。」





「え、飛び方?てか屋上?」






困惑しながら言われたとおりに立ち上がる。








「そう。屋上のほうが早かったから。とりまここでちょっと飛ぶ練習な。」




「え?ええええー?屋上で飛ぶ練習?何それ。」





「いいからはやく、そのネックレスのクロスを握れ。」






ゼロがすごい形相で命令してきた。







「いや、え?ちょっと待って、まだ心の準備が・・・・」






まだ抵抗をしていると、いきなり右手首と左の肩をつかまれた。




「お前、いい加減にしろ、つべこべ言ってると力ずくで外に突き落としてやろうか?あ?」







ゼロの手に力が入り、いかにも今から落とされそうな雰囲気だ。






「あ、いや、それはいや、うん、わかった、とりあえず羽を出せばいいんでしょ、出せば!」






そういうと、肩と手首から手を離された。





ごくっと息を呑み、ゼロのほうを目の片隅で見ながら、覚悟を決めてクロスを握る。






すると、なんも違和感もなく、後ろで小さくバサッと音がした。






ちょっと背中に重みが加わる。