そこにいたのは赤いフードを被った大柄な男と思われる人、小柄な女と思われる人がこちらに向かって歩いて来ていた。
深くフードを被っている為か、二人の顔は見えない。
「…ならばもう一度葬ってやろう」
奴はそう言いながら、手の甲に刺さったナイフを抜いた。
奴は男に突っ込んで行く。
その様子をあたしはただ呆然と見ていた。
男はキレのある動きで奴の攻撃をかわしていく。
そして、一撃、一撃、確実に奴に傷を負わせる。
「退くわよ」
いつの間にかあたしの傍に来てて、男と同じフードを被っている女が言った。
そして、女はあたしの手を引いて走って行く。
その声は、どこか聞き覚えがあった。
女に手を引かれて走っている最中、後ろで奴の苦しげな声が聞こえる。


