「俺らの総長はー……どこにいるんですかね?」
「え、知らないの?」
「気付いたらいるし、気づいたらいなくなってるし」
「え、嘘ホントに?」
もちろん嘘である。
だって、俺ちゃんと挨拶するし。
「ホントですよ。てか、何で総長を狙っているのに俺にそんなこと言うんですか」
「んー……イマイチどこにいるのか分かんないから?あと、顔もよく知らないしー」
「…………………………」
敵である俺にこんなにベラベラ話すとは、どういうことだろう。
「あ、俺いいこと考えた」
男の目がキランと光る。
「総長をここに連れてきてよ」
――いや、アホだろあんた
俺はそう思わざるを得なかった。


