あたしが見た世界Ⅲ【完】




「俺らの総長はー……どこにいるんですかね?」




「え、知らないの?」




「気付いたらいるし、気づいたらいなくなってるし」




「え、嘘ホントに?」




もちろん嘘である。




だって、俺ちゃんと挨拶するし。




「ホントですよ。てか、何で総長を狙っているのに俺にそんなこと言うんですか」




「んー……イマイチどこにいるのか分かんないから?あと、顔もよく知らないしー」




「…………………………」




敵である俺にこんなにベラベラ話すとは、どういうことだろう。




「あ、俺いいこと考えた」




男の目がキランと光る。




「総長をここに連れてきてよ」




――いや、アホだろあんた




俺はそう思わざるを得なかった。