あたしが見た世界Ⅲ【完】




そんな俺の思いが通じたのか、目の前にいる男が俺の口をふさいでいるガムテープを取った。




「いって!」




思った以上に唇がヒリヒリした。




手を口に当てる。




痛い部分が和らぐ。




とかいう効果は得られないが、痛かったので、ついやってしまう。




そんな俺を男はじっと見ていた。




「…な、何?」




無表情すぎて、逆に怖い。




「君さ、青龍の下っ端でしょ?君らの総長、何処にいるか知らない?」




「……は?」




すっごい自分でもびっくりするような、素っ頓狂な声が出た。






――いや、ここにいるんですけど