「……………………親父……」 リュウ兄が半ば呆れたように父さんを呼んだ。 「ん?」 「まさかとは思うけど、」 リュウ兄は、言うべきか否か、迷っているようだった。 「過去のことだし、言ってみ」 父さんはまるで、寺にいる住職のような穏やかな顔をした。 ………いや、ハゲではないけど。 それを聞いたリュウ兄は意を決したのか、父さんの目を見て言った。 「最初、夜一と母さんがくっついていたのに、父さんが夜一から母さんを奪った」