あたしが見た世界Ⅲ【完】





「…くぅ……」




そして耳元で聞こえる、荒い息遣い。




体の重いものをどかすと、それは隼人だった。




「…へぃ……き?」




彼は苦しそうに口角を上げた。




彼の脇腹から生温かい、あたしが今まで浴びてきた赤い液体が彼の服を汚していく。




「なん、で…」




あたしはハッと気づいて、ピエロを呼ぶ。




「あのね……アイ、」




「しゃべんな、バカ」




あたしが彼の傷口を押さえても、血は留まることをしない。




ピエロが来て、応急処置をする。




「…俺……さ、」




隼人の顔から血の気がどんどんなくなっていく。




さっき見た、土色のように。




唇が真っ青だ。




彼は何か唇を動かしたが、声にならず聞き取れなかった。




そして隼人は目を閉じた。