あたしが見た世界Ⅲ【完】






――嘘だ




あたしの足は勝手に二人のもとへと行っていて。




グッタリしていて、血の気がない二人の顔を触る。




けど土のように冷たくて。




「……そん…な…」




あたしはガクンと項垂れる。




『昔のままね、変わってないわ』




頭の中で声がする。




そして、ニコリと微笑む女の人。




『俺からすると、龍輝もアイも双子なのに全然似てねぇように見えるんだよな~』




そう言って、リュウ兄に攻撃を仕掛ける男。




そんな映像が脳裏に浮かんだ。




古ぼけた寺にいた時の出来事だ。




つい最近のことなのに、随分と昔のことのようだ。