彼は黒板を一瞥した後、サラサラとチョークで文字を書いていく。 「……………」 書き終わった慧が、なにやらニヤニヤ笑いを堪えながら席に戻る。 「かっ金井ィィイ!!!」 数学の教員が急に、真っ赤になって慧を呼ぶ。 ――何したんですか 僕はその言葉を飲み込んだ。 すぐに分かることだと思ったから。