あたしが見た世界Ⅲ【完】








「――…じゃなくて、間違えた!」




リュウ兄は、慌てて取り繕う。




「えぇ…っとォー……」




チラチラとリュウ兄があたしを見る。




……リュウ兄、あたしにも分かる…。




あんな破廉恥っぽいことを言う父さんなんて、信じたくない。




さっきのはきっと言葉のアヤだ。




あたしはリュウ兄を見て、コクリと頷く。




「ド、どウいう任務だった?」




何故か声が裏返ってしまい、父さんが少し首を傾げる。




「………あ、確か、どっかの会社の部長さんか課長さんか……」




父さんは「どっちか忘れたけど」と付け足す。




「その人が、なんかイケナイことしてるらしいから、その会社の社長から『消してくれ』っていう任務を受けた」




「え……?…てことは、親父達もCHAINってことか…?」




リョウ兄は、まだ少し混乱していた。