男と女は被っているフードを脱ぐ。
「……え…」
フードを脱いだ二人を見たあたしは驚きを隠せなかった。
「…お、親父とおふくろ!!?」
リュウ兄が叫ぶ。
男の髪はあたしと同じ色。
女の髪はリュウ兄と同じ色。
「あら、またこんなにケガして。貴女は女の子なんだから、もう少しおしとやかになさい」
女はそう言ってあたしの頬に手を置き、柔らかく笑う。
その声も、その仕草も、その優しい笑い方もあの時のまま。
それが分かると、何故か鼻の奥がツンとした。
そして胸もあつい。
「…母さん…ッッ…」
あたしはその女の胸に飛び込んだ。
それと同時に目から涙が溢れ出る。
もう涙なんて出ないと思っていたのに。
女はただ静かにあたしの背中をさすっていた。


