「どうかした？」

近くにいた友達に問いかけると、真っ青な顔をして口をパクパクさせている。

何か喋っているようだけれど、動く口からは空気の出入りする音しか聞こえず、理解不能だ。


仕方がないので、見たところ挙動不審でなさそうな奴に事情を説明してもらうため声を掛ける。

「なんであいつあんなに青白い顔してんの？」

さっきまで話し掛けていた友達を指をさす。


「え？...あぁ..何かさっき白い影を見たって騒ぎ出した奴らがいてさ....そのうちの一人、それからずっとあんな感じなわけ。」

然もどうでもいいことのように話すと浅いため息をついて、こちらを見る。


「ふーん...白い影ね....奴らってことは他にも見た奴いるってこと？」

自分にも心当たりがあることを悟られないように、表情が崩れないように努める。


なんとなく『自分も見た。』なんて言ったら、馬鹿にされるような気がして無意識に苦笑いでその場を逃れようとしていた。


「中野 泉クンは幽霊とか信じてる？」

鼻で笑った後、チラッと顔を青白くした奴らを見る。


まぁ、一言で言うと『嫌味な奴』その言葉がピッタリくるような奴だ。