どちらにせよ、また体育館に行くのが遅れてユキコの機嫌が損なわれそうだな...


この頃、ユキコはよく学校について質問してくる。

先生のこととか、今、受けている授業についてとか、友達の交友関係とか、そんな他愛もない話をしている。

西川さんのことはあまり聞いてこない。

どうして聞いてこないのかは分からない。


聞こうとも思わない。

頻りに聞いてこられると面倒だから。


「お前さ、西川のこと好きなのか?」

三浦はニヤニヤと俺と西川さんを交互に見る。

どう解釈すればそんな考えに行き着くのか教えてもらいたい。

ジッと三浦を睨むと楽しげに口を開く。


「お前、よく西川に声掛けてるじゃん。」

三浦は隣の席の椅子に座って、本を読んでいる西川さんを眺めている。


「だから?」

机に肘をついて頬を掌に乗せる。

それだけで好意があると思われたら、三浦はどれだけ好意をもった女子がいることになるか。

馬鹿らしい。