そんな願いは神様に届かなかったらしく、ゆるゆると西川 美咲と仲良くなろう作戦は開始された。


特にこれといったことはしない。

ただ、前よりは頻繁に声を掛けるようにするだけだ。


目が合えばお辞儀をする。

行動を出来るだけ共に出来るように努力する。



そんな程度のことをして、いつのまにか六月の半ばになる。

特に変わり映えのないそんな一日がまた始まろうとしている。


「中野君、少しいいですか?」

昼休み、昼食も食べ終わり、教室で三浦達と体育教師の愚痴を零していたところ、西川さんが声を掛けてきた。

なんか今日はソワソワしていると思えば...何か用があったのか。


「何?」

「あ、その....また、放課後に教室に残っていてもらえませんか?」

西川さんは俯いて、こちらを見ようとしない。


それだけ言うと、走って自分の席に戻ってしまった。


まだ体育館の隠れ場所に付いて諦めていないのだろうか?

それとも違った要件だろうか?