『もう帰るの?』

ユキコはまた泣き出しそうに目に涙を溜める。

クルッと方向転換をしてユキコの顔を見ないようにする。


「また明日も来るから。」

そう言い残して、その場を逃げた。

全力で。


別にユキコの今にも泣き出しそうな表情が可愛いとか、そんなことは思っていない。

ただ、なんか胸の辺りがムズ痒かった。

それだけだ。


学校の門を出ると、走ることを止めて息を整えながら歩く。

深呼吸を交えて呼吸をするたびに喉の奥がヒリヒリと乾燥して痛い。


今日は走り過ぎた。

一週間分の量を消費しただろう。


赤色が暗くなり始めた空を見上げて、ため息をつく。

面倒ごとに巻き込まれてしまった。


しかも、発案者が無計画という目的が達成されるかどうか疑わしい計画に...


平和な学校生活。

ごく普通の学校生活がほしい。