幽霊が見えるようになりました。

『もー....凄い待ったんだから。』

頬をふお膨らませてこちらを睨んで、フッと視線を逸らした。


「ていうか、体育館の外に出られるんだ。」

この空気は拙い、話題を変えよう。


『出れるけど....』

ボソッと呟くユキコはまだ空を見上げている。


「じゃあ、なんで探しに来なかったんだ?」

探しに来なかったんだ?

とか、少し上から目線になったけれど、疑問にも思う。

探せば、俺の居る所なんてしれたもので、安易に見つかるだろう。


『だって、私、校舎には入れないもの』

髪の毛をむやみに弄るユキコはつまらなさそうに視線を地面に落とす。


「どうして?」


『知らない。でも入ろうとしたら、壁みたいなのにぶつかる。』

ユキコは忌々しそうに足をジタバタとさせる。


幽霊って、行動範囲が制限されるものなのか?


『私だってもっと色んな所に行きたい。』

それから約五分程、子供のように地面に横たわって手や足を激しく動かす。