幽霊が見えるようになりました。

「その、もし体育館に隠れる場所があるなら教えてほしいんです。」

西川さんは俺の手を取ってギュッと握り締める。


「は?.....」

気の抜けた声が口から漏れてしまう。

さっきまで少し高鳴っていた鼓動も静まっていく。


「なんでそんなこと?」


「あたし、バレー部なんですけど....正直辞めたいんです。」

手を離して、また俯く。


辞めたい?

なら、なんで入部したんだ?


廊下から足音が聞こえてくる。

ドアが開いて、先生が顔を出す。

「おーい、教室閉めるぞ。」

担任の秋山が急かすように手で外に出るように指示するものだから、足早に机を避けながら教室の外に出た。



「もう、四時過ぎだぞ帰宅部は帰った、帰った。」

秋山は俺と西川さんの背中を軽く押す。


西川さんはバレー部なんだったら、もう完全に遅刻になるのでは?