その断片ですら、事実かどうか分からない。


『何が本当で、記憶で創り上げた嘘か分からない?』

「あぁ....そうだな。」


記憶なんか曖昧で信じていいものか分からない。

昔の楽しかった、嬉しかった記憶はより美化されて残っている。


『泉は頭の中で考えてばっかりだね。』


「何でも口に出せば解決するわけでもないからね。」

口に出して、周りの人たちを巻き込むのもどうかと思う。


『それでも、全く何も自分の意見を言わないのもどうかと思うよ?』


それは、上手く言葉が紡ぎ出せる人の意見だ。

みんながみんな、話し上手だと思われては困る。


話そうとすると言葉が詰まって、頭の中が真っ白になる。

今はもうある程度マシになったけれど、小学生の時が一番人と話せなかった。

話したかった。


その感情はもう薄れて、消えかけている。

そんな淡い願いを秘めていた頃も俺にあったんだな。