幽霊が見えるようになりました。

誤魔化しきれたかどうかは分からないが、取りあえず話を進める。


『じゃあなんで隠れたの?』

ユキコは不思議そうにドアの方を見つめる。


「ユキコのせいで怒られそうだから。」

舞台から降りて、メジャーが無くなっていることを確かめる。


『えっ!私何かした?』

オロオロと彼方此方を見て、忙しなく動く。


「冗談...真に受けんな。」

ユキコに笑って見せて、気にしないように促す。


本当は冗談ではないが、そうなった経緯を説明するのも面倒くさいので、冗談ということにする。


「それにしても、お前どのくらいここにいるんだ?」


『え?.....さぁ?どうだろ?時間なんて気にしたことないし....』


時間、気にしたことないって、幽霊ならではの感覚だな....


生きていたら、どうしても気にしなければならない時がある。

時間に縛られて生きていると言っても過言ではないかもしれない。