幽霊が見えるようになりました。

「あ....あんたって、好きな物とかないの?」

参考までに聞いておくのもいいだろう。


『んー....なんだろ?』

幽霊は困ったようにその場に頭を抱えてしゃがみ込む。


自分の好きな物すら分からないのか、こいつは...

呆れて何も言えない。


『あ!雪....雪が好きなの!』

突然、立ち上がって嬉しそうにそこらじゅうを跳び回る。

体育館の中を跳び回る。


どうしてそんなことでそこまで喜べるのか理解不能だ。

幽霊の着ている鮮やかな黄色のワンピースがヒラヒラと揺れて、まるで黄色い蝶が体育館の中を飛び舞っているようだ。


それを眺めていると、幽霊がいきなり振り向いてこちらを満面の笑みで見つめてきた。

『思い出させてくれて、ありがとう。』

こちらまで嬉しくなってしまうような声で発せられるその言葉に、不覚にも顔が緩んでしまう。


口元に手を当てて表情の変化を幽霊に気付かれないようにする。