けれど、その景色を眺める時間の余裕を俺は今、持ち合わせていない。


いつも体育の授業は五分前に準備体操を始める。

これに遅れると、後で色々と五月蝿いのだ。


自分には時間にあまく、人には厳しくって.....

ため息をつきつつも奥にある倉庫に急ぐ。


倉庫の鍵を開けている最中、後ろでバササッという音が聞こえた。

振り返ってみると窓が一つだけ開きっぱなしになっていた。


風になびくカーテンを見ながら、不用心な学校だなと思った。

確かに体育館に何か盗むような者があるか、と言われると無いのかもしれないけれど...


それに、窓もかなり高い位置にあるからそこまで用心しなくてもいいのかもしれない。

しかし、戸締りは確りすること、と最近、近くに不審者が出たとき言われたばかりなんだけどな...


呆れながらもメジャーを二つ手に取ると、急いで倉庫の鍵を閉めた。