幽霊が見えるようになりました。

それからは、色んな人が眠たくなる程長い挨拶をしたり、立ったり、座ったりしたけれど、特に記憶に残るようなことは、その時まで無かった。

けれど、教室に向かうように号令を掛けた教頭先生の隣に私服の女性が立っていた。


その光景に俺は目を見張った。

誰も何も無いかのように立ち上がって、これから自分のクラスになる所に向かおうとしている。

隣に立たれている教頭先生さえ、その女性の存在に気付いていない。


その女性は、そこから周りを見渡して一人一人の表情を確かめているようだ。

何の目的かは分からないし、得体も知れない。


取りあえず、教室に向かうこの流れに乗ってこの場を乗り切ろう。


今のところ、あの人に気が付いているのは俺だけみたいだし.....

後で、静かな所でじっくりこの問題は考えよう。


考えが纏まると、椅子から立ち上がって教室に向かう。

既に同じクラスの人たちは出口を出て、体育館シューズから上靴に履き替えようとしている。


クラスごとに教室に向かうよう指示は出されるが、並んで向かうという考えは無いらしく、各々がパラパラと出口から出ていくといったような感じだ。