おまけに勝手に家を抜け出してきたものだから、保護者なんていないし...


夜中の二時、辺りは真っ暗で持ってきた懐中電灯だけが頼りの今、子供が九人、『立ち入り禁止』の貼り紙を横目に次々と建物内に入っていく。


逸らしていた視線を旧校舎にもう一度向けてみると、周りにある木々が風に揺れてそれと一緒に建物まで動いている気がする。

なにか不気味なオーラを発している、僕にはそう見える。


行くのも不気味だが、一人でみんなの帰りを待つなんて選択はもっとありえない。


どんどんと中に入っていくみんなをただ呆然と立ったまま見ていると、建物内から僕を呼ぶ声がする。

「泉ー....早く来ねーと置いていくぞ。」


『置いていかれる』その恐怖から、竦む足をなんとか動かして駆け足でみんなの後を追う。


入口の錆びた鎖をなんとか潜り抜けて建物の中へと入る。

歩く度にギシギシと軋む床の音がより一層恐怖心を煽る。


前を歩いている友達の足元だけを懐中電灯で照らしながらついていく。