後のことを考えつつ、友達の両腕を掴んで上体を起こす。

しかし、この時点で結構重いことに気が付く。


これは背負って走るなんて甘い考え、捨てた方が良いかもしれない。

申し訳ないが、ここは引き摺らせてもらうことにしよう。


後ろ歩きをしながら、懐中電灯の邪魔さについて考える。

腕を持つにあたって、まず一番初めに困ったのが懐中電灯をどう持つか...


僕が持ってきたものは決して大きなサイズではないけれど、口にくわえられるほど小さくもない。

何というか、微妙な大きさである。


さっきから右手から左、左手から右、と交代しながら持っているが、手汗をかいて思わず落としてしまいそうになった。


手汗だけではなく、額や首筋などからもジワジワと汗が滲み出てくる。

けれど、友達を引き摺っているせいで上手く汗を拭うことが出来ない。


手を離して、ハンカチで確り拭き取ればいいのかもしれないが、一度離してしまうともう二度と持ちたくなくなる気がする。

あとは手を離したら男が廃る、という自分の中のつまらない意地がそうさせるのかもしれない。