引き止めないだろうとはおもっていた。

まぁ、青白い顔をしているし、ついてきてほしいとは思っていないけれど...


学校では態度が大きいというのに、意外と意気地なしというか何というか。

人のこと言えないんだけどね。


そう思いながら、ゆっくりと方向転換をして、もう一度深呼吸をした。

そして、家から持参した懐中電灯をギュッと握りしめて、走り出す。


今まで通り過ぎた廊下、階段、教室を横目に全力で走る。

この旧校舎に入った時は床の軋む音でさえ怖かったというのに、今では何とも思わない。


早くも息が切れてしまったその時、何か青いものが廊下に見えた。

息が上がったせいで、乾いて痛くなった喉に唾を呑みこむ。


近づいてみると、案の定、靴紐を結んでいた友達だった。

倒れて意識が無いにしても、口元が緩んで顔がニヤケている。

というか、耳を澄ませると寝息が聞こえる...

『寝ている』そう思うと、なんだか無性に腹が立ってきた。