黙っていてのは、図星ということも少しは理由に入るけれど、『気味が悪い』この感情が頭の中の大半を占めていた。


僕はどちらかというと感情は表情に出ない方だと思っていた。


「あぁ、そうだ。まだ自己紹介してなかったよな。」

無言の僕を気にすることもなく話を続ける。


「名前は井上 秀也、趣味は読書で.....」

延々と話し続ける井上を他所にこの建物に出る幽霊のことを考える。


何人か見たってことは、幻ではないということになるよな....

僕はこれまで幽霊なんて見たことないから霊感は無いと思ってたけど、そうでもなかったのか?

それとも、比較的このグループの中でそういうのに敏感な奴らが見えているのか?


でもそうしたら、僕が敏感な方に入ってしまう。

これまで感じたことも、ましてや見たことすら無いこの僕が?


もしくは、もっと別の理由があるのか?