帰る時にだんだん声をかけてくれなくなったこと、有紗と廊下で睨み会ったあの時の意味、そして五十嵐さん達の中にいても、一人会話に加わらずにいたこと、暖かい日差しで雪が融け地面が見えてくるように、ずっと疑問に思っていたことが、少しずつ少しずつわかってきた。



紙袋に丁寧にたたまれて入っていた体育着から、ふんわり優しい花の柔軟剤の香りがした。














それから、本当にちょっとずつだったけど、有紗と『おはよう』とか『バイバイ』とか挨拶を交わすようになっていった。




三人で行動することはないけど、本当は何の違和感もなく、自然と一緒にいられることが一番いい。



そうなれる道をちょっとずつ歩いていく。


それぞれのペースで。